対象読者
- DNAシーケンシングやゲノム科学の基礎知識があり、関連技術の事業化に関心がある研究者・科学者
- ライフサイエンス分野のスタートアップ、ディープテック企業の成長過程に興味がある方
- Oxford Nanopore Technologiesの技術、製品、経営戦略や業界での位置づけを理解したい方
要約
- Oxford Nanopore Technologies(ONT)は、2005年にOxford大学の研究成果を核として設立され、約20年かけて世界的なDNA・RNA解析プラットフォーム企業へと成長してきました。
- 同社は未成熟な技術を早期アクセスプログラムを通じて研究者に提供し、顧客とともに技術を改良する独自の商業化戦略を採用しました。
- MinIONからGridION、PromethIONへと製品群を拡張し、研究用途だけでなく臨床、製薬、産業応用へと対象市場を広げています。
- 長期にわたる研究開発投資を経て2021年に株式上場を実現しましたが、2026年現在も赤字であり、持続的な収益性の確立が重要な課題です。
- ONTの歴史は、研究知財の統合、長期資金の確保、初期ユーザーとの共同開発、プラットフォーム展開、そして事業の選択と集中という、ディープテック企業の成長に不可欠な要素を示しています。
1. はじめに:Oxford Nanopore Technologiesとはどのような企業なのか
Oxford Nanopore Technologies(以下、ONT)は、英国Oxford大学の研究成果を起点として、2005年に設立されたライフサイエンス企業です。
同社は、ナノポアと呼ばれる極めて小さな孔を分子が通過する際の電流変化を利用して、DNAやRNAなどの分子を解析する技術を開発・商業化してきました。
ONTを象徴する製品は、携帯型DNAシーケンサーのMinIONです。
従来、DNAの塩基配列を決定するには、大型で高価な装置や専門的な解析施設が必要でした。それに対してMinIONは、持ち運びが可能で、ノートPCにつないで利用でき、データをリアルタイムで取得できます。
また、ONTの技術は、長いDNA分子を連続して読み取れることや、RNAを直接解析できることにも特徴があります。
しかし、ONTの歴史を理解するうえで興味深いのは、単に優れた技術を製品化したということだけではありません。
同社は、基礎研究の成果を集めて事業化するところから始まり、技術的な未成熟さ、製造上の課題、競合他社との知財紛争、長期にわたる研究開発投資、COVID-19による需要変動など、さまざまな課題に直面してきました。
その過程で、顧客、製品、資金調達の方法、事業の優先順位を変化させてきました。
その歴史は、大きく次の6段階に分けられます。
| 時期 | 発展段階 | 主な出来事 |
|---|---|---|
| 2005〜2011年 | 研究成果の事業化 | Oxford大学のタンパク質ナノポア研究を核に創業し、外部研究者の知財を統合してDNA解析技術を開発 |
| 2012〜2016年 | 未成熟な技術の市場投入 | MinIONを発表し、2014年から早期アクセスを開始。研究者コミュニティとともに技術を改良 |
| 2017〜2019年 | 小型機器から大規模解析へ | GridION、PromethION、RNA解析へ展開し、大規模ゲノム解析にも対応 |
| 2020〜2021年 | 感染症対応と株式上場 | COVID-19ゲノム監視で世界的に普及し、2021年にロンドン証券取引所へ上場 |
| 2022〜2025年 | 臨床・産業用途への展開 | 精度、処理量、コスト、操作性を改善。製薬、がん、感染症、臨床検査への応用を拡大 |
| 2026年〜 | 研究主導から顧客・市場主導へ | 創業CEOから新CEOへ交代。成長市場への集中、製品群の整理、規制対応、黒字化を優先 |
これを経営上のテーマで整理すると、次のようになります。
| 時期 | 最大の課題 | 主な対応 |
|---|---|---|
| 創業期 | 科学的原理を実用技術に変えること | 知財統合と長期R&D投資 |
| 初期製品期 | 精度が不十分でも顧客価値を生むこと | 早期アクセスと用途の選択 |
| 成長初期 | 小型装置の市場規模を超えること | 高処理量装置への展開 |
| 事業拡大期 | 技術の優位性を商業的成功に変えること | 消耗品収益と大口顧客の開拓 |
| 現在 | 成長を続けながら黒字化すること | 顧客用途への集中、効率化、組織改革 |
2025年の売上高は2億2,390万ポンド、2026年上期の売上高は1億1,670万ポンドでした。一方で、2026年上期には4,800万ポンドの最終赤字を計上しています。
同社は2027年の調整後EBITDA損益分岐、2028年のフリーキャッシュフロー黒字化を目標としています。[7][8]
したがって、ONTは「技術の商業化には成功しつつあるものの、持続的な収益事業としての完成はこれから」という段階にあると考えられます。
以下では、その約20年間を、設立の背景、技術・製品、資本、人材、直面した課題という観点から詳しく振り返ります。
2. 創業の経緯:大学の技術を集めた知財統合型スタートアップ
2-1. 起点は1980〜1990年代の研究
ONTの技術的ルーツは、会社設立よりも約15年前にさかのぼります。
1989年、カリフォルニア大学のDavid Deamer教授は、極めて小さな孔(ナノポア)を通過するDNAの構成要素を、電流の変化によって識別できるのではないかと着想しました。
その後、Harvard大学のDan Brantonらとの共同研究が進み、1996年には、ナノポアを通過する核酸を電気的に検出する研究成果が発表されました。
一方、Oxford大学のHagan Bayley教授は、タンパク質でできたナノポアを利用し、個々の分子を識別する研究を進めていました。[2][4]
当初の大きな壁は、「分子が孔を通過したことを検出する」ことと、「DNAの塩基配列を連続して正しく読み取る」ことの間に、大きな技術的隔たりがあったことです。
ナノポアを利用した分子検出の原理が成立しても、そのまま実用的なDNAシーケンサーが完成するわけではありません。
DNA分子の移動速度を適切に制御し、非常に小さな電流の違いを測定し、その信号から塩基配列を推定する必要がありました。
このような課題を解決するために、複数の研究者や研究機関の成果を結びつけることが重要になりました。
2-2. 2005年、Oxford Nanolabsとして創業
2005年、ONTはOxford Nanolabsという名称で設立されました。
創業の中心となったのは、Hagan Bayley、Gordon Sanghera、Spike Willcocksの3人です。[1][2][3]
Hagan Bayley
Oxford大学の化学生物学教授です。
ONT創業の核となる学術研究を行い、タンパク質ナノポアを利用した分子検出技術を提供しました。
Gordon Sanghera
ONTの創業CEOです。
元Medisenseの研究開発責任者で、血糖測定技術の事業化経験を持っていました。
大学の研究成果を実際の製品に変える役割を担いました。
Spike Willcocks
共同創業者で、IP Group出身です。
知財、投資、事業開発、大学技術の商業化をつなぐ役割を担いました。
創業時のシード資金は約50万ポンドでした。
Oxford大学の技術移転組織と、大学発ベンチャーへの投資を専門とするIP Groupが重要な役割を果たしています。
株式は創業者、大学、IP Groupの間で配分され、大学由来の知的財産を事業化する枠組みが作られました。[2][3]
ここで注目したいのは、創業チームの構成です。
単に優秀な研究者が会社を設立したのではなく、最初から科学、製品化、資金調達、知財事業開発の役割が揃っていました。
特にSangheraが、血糖測定器という「生物学的情報を電子的なデバイスで測定する製品」の開発経験を持っていたことは、ONTの事業と親和性が高かったと考えられます。
2-3. 一つの大学の発明だけでは実用化できなかった
ONTはOxford大学のスピンアウトですが、技術の中身はOxford大学だけで完結していません。
2008年頃から、Harvard大学、カリフォルニア大学サンタクルーズ校などの研究者が開発していた知財を導入・活用しました。
特に重要だったのは、次の二つの技術です。
- DNAの塩基による電流の違いを識別できるようにする、改変されたタンパク質ナノポア
- DNAが孔を通過する速度を制御する酵素モーター
DNAは単純に孔を通せば配列が読めるわけではありません。
速すぎる分子の移動を制御し、微弱な電流の違いを計測して初めて解析できます。
ONTは、これらの技術を2010年頃に組み合わせ、2011年には塩基配列を推定するアルゴリズムまで含めた実証を進めました。[1][4]
この時期のONTは、単一の特許を持つベンチャーというよりも、世界中に散在する相補的な発明を統合して製品化する企業だったと見るのが適切です。
そして、この統合には研究機関との契約、知財ライセンス、長期の資金供給が不可欠でした。
ONTの創業過程は、大学発ディープテック企業において、自社の研究成果だけでなく、外部の知的財産を組み合わせる能力も重要であることを示しています。
3. 製品・事業の変遷:小型機器から解析プラットフォームへ
3-1. 2012〜2016年:MinIONと「顧客と一緒に開発する」モデル
2012年、ONTは国際学会AGBTでナノポアによるDNAシーケンシングのデータを公開しました。
そこで注目されたのが、小型のシーケンサー「MinION」です。[1]
従来、DNA配列の解析には高額で大型の装置や専門の施設が必要でした。
これに対してMinIONは、持ち運びが可能で、ノートPCにつないで利用でき、解析中にデータをリアルタイムで取得できました。
さらに、長いDNA分子を連続的に読み取れるという、短い断片を大量に読む既存技術とは異なる価値を持っていました。
ただし、登場当初の技術は完成度が十分ではありませんでした。
ONTが採用した方法は、精度が完全になるまで発売を延期するのではなく、技術に理解のある研究者に先行提供することでした。
2014年に始まったMinION Access Programme(MAP)では、研究者が返金可能な1,000ドルの保証金を支払い、初期機器を利用できました。
この仕組みには複数の意味がありました。
- 研究者から性能・操作性・不具合についての実践的なフィードバックを得ること
- どのような用途なら初期性能でも価値があるかを探索すること
- 外部研究者による独立した成果発表を促すこと
- 技術が改善するにつれて、既存ユーザーからの利用拡大につなげること
2015年にMinIONは商用提供へ移行しました。
また同年、ユーザーが研究成果を発表する「London Calling」という独自カンファレンスを開始しています。[1][5]
このモデルは、一般的な医療機器の開発とはかなり異なります。
医療機器では、厳しい検証を経てから市場投入する必要があります。一方、研究用途では、研究者自身が技術の制約を理解したうえで実験的に利用できます。
ONTは、まず研究用途で利用者を獲得し、その過程で技術を成熟させました。
初期の性能が十分でない段階でも、従来の技術では実現しにくかった用途を持つ研究者にとっては、価値のある製品だったと考えられます。
3-2. 2017〜2019年:製品ラインアップを拡張
ONTは、携帯型製品だけの企業にはとどまりませんでした。
小型・低コストという特徴を保ちながら、大規模な解析を必要とする顧客へ市場を広げていきます。
この時期に展開された代表的な製品が、GridION、PromethION、Flongleです。[1]
GridION:2017年商用展開
GridIONは、複数のフローセルを同時に扱い、計算機能も統合した据置型システムです。
中規模の研究室やシーケンシングサービスへの対応を強化するための製品です。
PromethION:2018年商用展開
PromethIONは、大量のDNAを並列解析できる高スループット製品です。
ヒト全ゲノムや集団規模の研究に対応し、既存の大型シーケンサー市場にも参入しました。
Flongle:2019年導入
Flongleは、少量の試料を低コストで解析するための小型フローセルとアダプターです。
小規模な検査や個別解析の経済性を改善することを目的としています。
このような製品群には、共通のナノポア技術を幅広い処理量と用途へ展開するという特徴があります。
同じ基本技術を利用しながら、小規模解析から大規模解析までをカバーする設計です。
この戦略によって、ONTは携帯型シーケンサーという特徴的な製品を持つ企業から、さまざまな研究室や解析施設に対応するプラットフォーム企業へと発展していきました。
3-3. DNA以外の分子、特にRNAへ展開
2017年にはRNAシーケンシングの製品・技術を提供し、2018年には直接RNA解析に関する研究成果が発表されました。[1][4]
従来のRNA解析では、RNAを一度DNAに変換する工程が一般的です。
一方、ONTの方式はRNA自体を直接解析できるため、分子上の修飾など、変換工程で失われる可能性がある情報を取得できるという特徴があります。
ここで注目すべきは、ONTが元々掲げていた構想が、DNA解析だけに限らない「分子の電子的センシング」だったことです。
実際の商業化ではDNAを先行させ、技術成熟後にRNAなどへ拡張してきました。
これは、一つの用途で技術基盤を確立した後、その基盤を別の分子や解析対象へ広げるというプラットフォーム展開の例です。
3-4. 2020〜2021年:COVID-19が技術の社会的有用性を可視化
COVID-19の流行は、ONTにとって重要な転換点になりました。
ナノポア技術は、ウイルスのゲノム解析を研究所だけでなく各地で実施できるため、変異株の監視に適していました。
2020〜2021年には、多数の国の公衆衛生機関や研究者が利用しました。
また、ONTはLamPOREというCOVID-19検査技術も開発しました。[1][6]
ただし、ここは事業を理解するうえで区別が必要です。
ウイルスのゲノム監視で技術が利用されることと、診断検査製品で持続的な収益を得ることは別です。
COVID-19検査関連売上は、2020年に4,830万ポンド、2021年には670万ポンドとなり、その後2022年には5,180万ポンドに増加しました。
需要は感染状況や公的検査施策などに大きく左右されています。
一方、研究機器を中心とするLSRT(Life Science Research Tools)売上は、2020年の6,550万ポンドから2021年の1億2,700万ポンドへと大きく伸びました。[6]
つまり、感染症対応はナノポア技術の普及・認知拡大に寄与した一方、一時的な需要に依存しない事業基盤の構築は引き続き課題でした。
3-5. 2022〜2025年:臨床・製薬・産業市場へ
2022年以降、ONTは小型高処理量機のPromethION 2シリーズなどを導入し、次の用途への展開を強化しています。[1][7]
Research(研究)
全ゲノム解析、構造変異解析、エピジェネティクス、微生物研究などの用途です。
Clinical(臨床)
希少疾患、がん、感染症などの解析です。
BioPharma(製薬・バイオ医薬品)
研究開発、製品品質管理、遺伝子・細胞治療関連などの用途です。
Applied Industrial(産業応用)
合成生物学、食品、農業、環境などの領域です。
2025年には、bioMérieuxとの協業による薬剤耐性結核の解析ソリューション「AmPORE-TB」や、Cepheidとの感染症解析に関する提携などが進展しました。
また、GridION Dxという体外診断向け機器の登録についても進展が報告されています。[7]
ただし、規制上の登録や認証は地域・対象製品によって異なり、すべての製品・用途について診断使用が認められたことを意味するわけではありません。
ONTは研究市場を基盤としながら、臨床や製薬など、より継続的で大規模な利用が期待される市場への展開を進めています。
4. 売上構成から見た注力分野の変化
ONTの戦略転換は、顧客別売上の変化にも現れています。
2024年と2025年の顧客市場別売上構成は次のとおりです。[7]
| 顧客市場 | 2024年 | 2025年 |
|---|---|---|
| Research | 70% | 67% |
| Clinical | 9% | 13% |
| BioPharma | 8% | 8% |
| Applied Industrial | 13% | 12% |
※開示された構成比に基づく概数です。
研究用途が依然として売上の約3分の2を占めていますが、臨床用途の比率は2024年の9%から2025年には13%となりました。
2025年の前年比成長率を見ると、以下のようになります。
| 顧客市場 | 2025年の前年比成長率 |
|---|---|
| Research | 15.1% |
| Clinical | 59.9% |
| BioPharma | 30.4% |
| Applied Industrial | 27.2% |
このことから、研究市場はONTの基盤である一方、経営陣が将来の拡大余地をより大きく見ているのは、臨床・製薬市場だと分かります。[7]
重要なのは、これは研究用途を捨てるという戦略ではないことです。
研究市場を技術開発・実証・顧客基盤として維持しながら、より継続的で大規模な利用が期待できる用途へ事業を広げる動きです。
このような展開は、研究用機器のメーカーが、研究市場で培った技術を臨床や産業市場へ拡張していく際の典型的な課題とも重なります。
研究市場における技術的な優位性だけでは、臨床や産業分野での普及は保証されません。
顧客が必要とする性能、信頼性、操作性、規制対応、運用コストを満たすことが、新たな成長の条件になります。
5. 資本の変遷:長期間の赤字を支えた投資家と上場
ONTを理解するうえで、技術以上に重要かもしれないのが資金調達です。
同社は創業から商業化まで非常に長い期間を要し、その間に数億ポンド規模の資金を調達してきました。
5-1. 主な資金調達の履歴
主な資金調達と資本取引の履歴は、次のとおりです。[2][3][6]
| 時期 | 調達・取引規模 | 主な投資家・目的 |
|---|---|---|
| 2005年 | 約50万ポンド | IP Groupなど。創業・基礎技術の開発 |
| 2014年 | 3,500万ポンド | Woodford系ファンドなど。製造・商業化準備 |
| 2016年 | 1億ポンド | GT Healthcare、Woodford、IP Groupなど。海外展開 |
| 2018年 | 1億ポンド | GIC、CCBI、Hostplusなど。製造設備・製品拡充 |
| 2020年発表 | 新規資金2,930万ポンド | 加えて既存株式8,020万ポンドの売買を実施 |
| 2021年 | IPOで約3億5,000万ポンド | ロンドン市場上場。新株発行による調達 |
| 2024年 | 5,000万ポンド | Novo Holdingsによる新株引受 |
※主要な公表取引を抜粋したもので、全ラウンドを網羅したものではありません。また、2020年の既存株式売買は、会社への新規資金流入ではないため区別しています。
2020年初めの会社発表によれば、その時点での累計プライマリー投資額は約4億8,000万ポンドに達していました。
創業から約15年間で、それだけの先行投資を必要としていたことになります。
DNAシーケンシングのような高度な技術を商業化するには、基礎研究だけでなく、装置の開発、製造設備の整備、品質管理、ソフトウェア開発、顧客サポート、海外展開など、さまざまな投資が必要です。
ONTの資金調達の歴史は、ディープテック企業において、技術開発の長い時間軸を支えられる投資家の存在が重要であることを示しています。
5-2. IP Groupの役割は資金提供だけではなかった
IP Group plcは、ONTの最も重要な初期支援者の一つです。
同社の公開資料によると、IP Groupは次の役割を担っていました。[3]
- 初期シード投資
- 長期間にわたる追加投資
- 新規投資家の紹介
- 経営陣・社外取締役などの採用支援
- 知財事業化を支える経営支援
この関係には、大学発ディープテック企業の育成に関する示唆があります。
初期投資家の役割は必ずしも資金だけではなく、「技術が商業化されるまで組織と資本をつなぎ続けること」にもありました。
大学発の科学技術が商業化されるまでには、技術開発の方向性、必要な人材、知財の利用条件、市場投入のタイミングなど、多くの不確実性があります。
そのため、長期的な研究開発投資を継続できる環境と、事業化を支援する組織的な能力が重要になります。
ONTの成長過程では、IP Groupがその役割の一部を担っていたと考えられます。
5-3. 2021年の上場は大きな節目
2021年9月30日、ONTはIPO価格を1株425ペンスと決定しました。[6]
主な条件は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 上場市場 | ロンドン証券取引所 |
| 証券コード | LSE: ONT |
| IPO価格 | 425ペンス/株 |
| IPO価格ベースの時価総額 | 約34億ポンド |
| 新株発行による総調達額 | 約3億5,000万ポンド |
上場によって研究開発・事業拡大の資金を確保できましたが、同時に新しい課題が生じました。
非上場の段階では、長期的な技術開発への期待を持つ投資家が資金を提供していました。
上場後は、売上成長だけでなく、費用管理、利益率、キャッシュフロー、資本効率について継続的に説明する必要が生じます。
2024年のNovo Holdingsによる5,000万ポンドの出資は、上場後もライフサイエンス分野に専門性のある投資家から資本を受け入れている例です。
5-4. 収益規模は拡大したが、利益はまだ出ていない
ONTの年間売上高の推移は、次のとおりです。[6][7]
| 年度 | 年間売上高(百万ポンド) |
|---|---|
| 2020年 | 113.9 |
| 2021年 | 133.7 |
| 2022年 | 198.6 |
| 2023年 | 169.7 |
| 2024年 | 183.2 |
| 2025年 | 223.9 |
2022年にはCOVID-19検査収入が大きく寄与しました。
その後、2023年には一時的な需要の反動が見られましたが、2024〜2025年は再び成長しています。
2025年の決算は、次のとおりです。[7]
| 指標 | 2024年 | 2025年 |
|---|---|---|
| 売上高 | 1億8,320万ポンド | 2億2,390万ポンド |
| 売上総利益率 | 57.5% | 58.6% |
| 調整後EBITDA | −1億1,790万ポンド | −8,670万ポンド |
| 最終損失 | −1億4,620万ポンド | −1億4,520万ポンド |
| 現金・流動性投資 | 4億380万ポンド | 3億280万ポンド |
数字から読み取れるのは、売上成長と収益性改善が始まっている一方、キャッシュの消費が続いているということです。
事業が利益を生む規模へ拡大するまでの時間を、残存資金と継続的な経営改善によってどう確保するかが、現在の課題です。
なお、調整後EBITDAは会社が定義する非IFRS指標であり、会計上の最終利益や現金収支と同じではありません。
6. 人的・組織的変遷:研究開発組織から商業企業へ
6-1. 2005〜2021年:創業者主導の技術企業
創業から2021年の上場まで、Gordon SangheraがCEOを務めました。
技術面では、2008年に重要な人材の採用がありました。
John Milton
SolexaでのDNAシーケンシング技術開発経験を持つ経営人材です。
Clive Brown
同じくSolexaでの経験を持ち、ONTの技術開発を主導したCTOです。[1]
Solexaは、後にIlluminaが買収した次世代シーケンシング技術企業です。
つまりONTは、まったく新しい方式を開発するために、既存のDNA解析産業をよく理解した人材を取り込んでいました。
新しい技術を開発する企業であっても、その事業化には既存市場の技術、顧客、製品開発プロセスを理解する人材が必要だったことが分かります。
6-2. 人員規模と職能の拡大
2021年末の従業員数は803人(FTE)、2025年の年間平均従業員数は1,335人でした。[7]
2025年の平均人員構成は、以下のとおりです。
| 部門 | 平均従業員数 |
|---|---|
| 研究開発 | 504人 |
| 製造 | 176人 |
| 販売・管理等 | 655人 |
| 合計 | 1,335人 |
現在も研究開発部門は大きいものの、販売、マーケティング、顧客支援、管理部門を含む職能が拡大しています。
これは、単に研究チームが大きくなったのではなく、世界中に製品を供給し、顧客の導入・運用を支援する企業へ変化したことを示しています。
6-3. 2025年:事業の優先順位を見直し、人員削減も実施
2025年には、成長一辺倒から経営効率重視への転換が明確になりました。
年次報告書によると、同年の組織再編では次の施策を実施しています。[7]
- 研究開発活動の優先順位の見直し
- 製品ラインアップの整理
- 人員削減
- 製造工程の自動化・効率化
- 収益性向上に向けた経費管理
再編に関連して138人が退職し、関連費用は合計2,260万ポンドとなりました。
一方、年間平均従業員数は前年より1.5%増えています。
これは採用の継続と組織再編が並行して進んだためです。
技術開発型企業が、すべての開発テーマに広く投資する段階から、市場性の高いテーマに資源を集中する段階に移ったと解釈できます。
6-4. 2026年3月:創業CEOが交代
2026年3月2日、Francis Van ParysがONTのCEOに就任しました。
Van Parysは、Danaher傘下のRadiometerでCEOを務め、Cytiva、GE Healthcareなどでも経営経験を持つ人物です。
一方、Gordon SangheraはCEOと取締役を退任し、2027年初めまで助言的な役割を担うことになりました。[8]
この人事は、ONTの歴史の中でも非常に重要だと考えられます。
初代CEOは科学技術の商業化を推進する創業経営者でした。
一方、新CEOは診断機器やライフサイエンス事業をグローバルに運営し、事業を拡大してきた経歴を持っています。
したがって、この交代は単なる世代交代というよりも、技術開発の推進力を維持しながら、商業化・事業運営の実行力を強化するための経営転換と見ることができます。
もちろん、これが実際に利益成長につながるかどうかは、今後の業績で確認する必要があります。
7. 直面してきた課題と、その対応
ONTの歴史には、技術的な革新を商業的な成功につなげるための、多くの試行錯誤が見られます。
ここでは、主な課題とその対応を整理します。
7-1. 課題① DNAを読めることと、正確に読めることの違い
初期のナノポア技術は、長いDNAをリアルタイムで読める点で優れていましたが、塩基配列の読み取り精度が大きな弱点でした。
2014〜2015年の初期MinIONを評価した独立研究でも、性能の限界が報告されています。[5]
ONTはこの問題に対して、単一の技術改善ではなく、複数のレイヤーを改良しました。
| 改良領域 | 主な対応 |
|---|---|
| 分子 | ナノポアの構造・種類の改良 |
| 化学 | DNAの通過を制御する酵素や試薬の改良 |
| 電子回路 | 微弱な電流を高精度に測定する回路 |
| ソフトウェア | 電流信号から塩基配列を推定するアルゴリズム |
| 統計処理 | 複数の読み取りを用いた合意配列の精度向上 |
2016年のR9、2018年頃からのR10の開発、2021年のQ20+キットなどは、この継続的な改良の例です。
2021年には、Q20+キットによって単一リードで99%を超える精度を達成したと発表しています。[1]
ただし、99%という数値がすべての用途で十分な精度を意味するわけではありません。
例えば、微量の変異を検出する場合、単一リード精度、合意配列精度、変異検出精度は区別して評価する必要があります。
対応の本質は、ナノポア技術を一度完成させて販売するのではなく、ハードウェア・化学・ソフトウェアを継続的に進化させられる設計にしたことです。
7-2. 課題② 研究室の実験を、安定して出荷できる製品にする
研究室では動作する実験装置が、必ずしも世界中に配送できる商用製品になるわけではありません。
ナノポア技術では、特に微小な膜とタンパク質の安定性が問題でした。
ONTは、従来の壊れやすい脂質二重膜に代わる頑丈な膜を開発し、フローセルを通常の輸送網で配送できるようにしました。
また、測定用の専用ASIC、フローセル製造、試薬、解析ソフトウェアまで、幅広い技術を統合する必要がありました。
2019年にはHarwellに新たな製造施設を稼働させ、その後も製造自動化を進めています。[1]
近年の粗利益率改善にもフローセルの歩留まり改善が寄与しています。[7]
ここから分かるのは、ONTの競争力がナノポアという科学技術だけでなく、製造プロセスと製品供給能力にも依存していることです。
新しい分子解析技術が優れていても、製品として安定供給できなければ、世界中の研究室や医療機関で利用されることは困難です。
ONTの歴史は、実験技術と量産技術の間にある大きな隔たりを示しています。
7-3. 課題③ 既存企業との競争と知的財産紛争
ONTは、既存のDNA解析企業がすでに市場を形成していた環境に参入しました。
そのため、技術的な競争だけでなく、知財上の競争にも直面しています。
代表例が、2016年のIlluminaによる特許侵害訴訟です。
IlluminaはMspAというナノポアに関する特許を主張し、ONT製品の侵害を訴えました。
また、Pacific Biosciencesとの間でも特許紛争がありました。
2018年には英国・ドイツでの訴訟の取り下げに合意し、ONTは既に旧式となっていた2Dキットを両国で販売しないことに同意しました。
これらの訴訟の影響すべてを公開資料から定量化することはできません。
ただし、ONTは基礎技術のライセンス導入と、自社独自の製品・技術開発の両方を進めてきました。
競合他社も関連する特許を保有する市場では、知財戦略を事業戦略と切り離せないことが分かります。
7-4. 課題④ 革新的な製品があっても、利益が出るとは限らない
これは現在まで続く最大級の経営課題です。
研究者が高く評価する装置を作ることと、安定した利益を生むビジネスを作ることは異なります。
ONTは装置本体だけでなく、測定時に使用するフローセル、試薬キット、ソフトウェア、サービスなどを提供しています。
この事業モデルでは、装置の導入台数に加えて、顧客がどれだけ継続的に装置を稼働させるかが重要です。
特にPromethIONの売上増加には、顧客によるフローセル使用量の増加が寄与しています。
2024年の決算では、PromethION製品群が基調ベースで55.8%成長した一方、MinION製品群は同9.6%減少しました。[7]
したがって、将来の収益性を考えるには、装置の販売台数だけでなく、設置後の利用量、消耗品売上、製造原価、顧客維持率などを見る必要があります。
製品が研究室に導入されることと、継続的に使用され、収益を生み続けることは別の問題です。
7-5. 課題⑤ 研究用途と臨床用途では求められるものが異なる
研究では、多少の作業負荷があっても、新しい解析ができることに価値があります。
一方、臨床や日常的な製薬・品質管理の現場では、解析性能に加えて以下が重要になります。
- 毎回安定した結果が得られること
- 誰が使っても同じ手順で運用できること
- 試料調製から結果報告までが簡単であること
- 品質管理・規制要求に対応できること
- 既存の検査システムに統合しやすいこと
2026年上期の経営発表では、顧客がONTの技術的価値を認識していても、実際の普及には製品の堅牢性、簡単なワークフロー、明確な検証結果が必要だと説明されています。[8]
これは重要な変化です。
以前の主な問いが「ナノポア技術で何ができるのか」だったとすれば、現在は「顧客の仕事にどう組み込み、継続的に使ってもらうか」へ移行しています。
研究開発に成功した技術が、必ずしもそのまま臨床現場で採用されるわけではありません。
技術性能に加えて、信頼性、規制対応、運用の容易さ、経済性などを満たす必要があります。
ONTは現在、その次の段階に取り組んでいると考えられます。
8. 2026年現在:どこへ向かおうとしているのか
新CEOのFrancis Van Parysは、2026年8月19日の上期決算発表で、経営戦略を4つの優先事項に整理しました。[8]
8-1. 顧客中心の成長
臨床・製薬・研究分野の中でも、明確な顧客価値を実現できる用途へ重点投資する方針です。
8-2. 焦点を絞ったイノベーション
技術的な優位性を、実際に導入・運用しやすい製品やワークフローに変えることを目指しています。
8-3. 規律ある事業運営
製品群の簡素化、業務の標準化、責任体制と収益性管理の強化を進めています。
8-4. 高い実行力を持つ組織
経営人材の強化、規制対応・製造品質能力の構築、組織横断での実行力向上を図っています。
8-5. 2026年上期の業績
2026年上期の決算では、成長率が前年通期より鈍化している一方、利益率の改善が見られます。[8]
| 指標 | 2026年上期の実績 | 補足 |
|---|---|---|
| 売上高 | 1億1,670万ポンド | 前年同期比10.5%増 |
| 粗利益率 | 62.2% | 前年同期比4.0ポイント改善 |
| 調整後EBITDA | −2,210万ポンド | 前年同期の−4,830万ポンドから赤字縮小 |
| 現金・流動性投資 | 2億3,450万ポンド | 2026年6月末時点 |
同社は2030年に7億ドル超の売上高、15%超の調整後EBITDAマージンを目標としています。
ただし、これらは会社側が公表した経営目標であって、達成が保証されたものではありません。
特に臨床・製薬市場への普及スピードと、製品の安定運用・規制対応が重要な不確実性として残ります。
また、2026年8月には診断関連企業とのクロスライセンス契約を発表し、知財そのものからの収入も得る方向性が見られます。
現在のONTは、技術を開発する企業から、その技術を顧客の実際の業務に組み込み、継続的な収益を生む企業へと変化しようとしている段階にあると考えられます。
9. ONTの歴史から読み取れる5つの示唆
ここまでの公開資料に基づき、ONTの歩みから、ディープテック企業の成長を理解するうえで特に重要と考えられる5つの示唆を整理します。
9-1. 事業化の中心となる技術は、自社で発明したものだけとは限らない
ONTは大学の研究成果を核に、複数の研究者・研究機関の知財を統合しました。
競争力の源泉は個々の特許だけでなく、それらを製品として動作させる能力にもありました。
ナノポア、酵素モーター、電流測定回路、解析アルゴリズムなど、多くの異なる技術を統合して初めて、実用的なシーケンサーを作ることができました。
このような技術統合能力は、ディープテック企業にとって重要な競争力だと考えられます。
9-2. 初期技術の弱点を理解した顧客を選ぶことで、早く市場に出られる
初期MinIONは十分な精度を持ちませんでしたが、携帯性、長いDNAの読み取り、リアルタイム解析に価値を見出す研究者がいました。
最初からすべての顧客を対象にせず、技術に合った用途から始めた点が特徴的です。
これは、製品の性能が十分に成熟していない段階でも、特定の課題に対して独自の価値を提供できれば、実際の利用者を獲得できる可能性を示しています。
9-3. 技術の改善と顧客基盤の形成を同時に進めた
MAPやLondon Callingは、製品テスト、ユーザー支援、学術的検証、コミュニティ形成を結びつけました。
ユーザーが研究成果を発表することが、他のユーザーにとっての導入判断材料にもなりました。
ONTは製品開発と市場形成を別々に行うのではなく、研究者コミュニティを通じて並行して進めてきました。
特に、新しい分析技術を扱う研究者が、開発途上の性能や限界を理解しながら利用できるという研究市場の特徴を活用した点が重要です。
9-4. 同じ基盤技術から異なる価格帯・処理量の市場へ展開した
MinIONだけでは、小型の研究装置市場に限られる可能性がありました。
しかし、GridIONやPromethIONによって、大型設備市場まで対象を広げました。
基盤技術を共有しつつ、顧客の規模と要求性能に合わせて製品を分化させたことが重要です。
さらに、DNAだけでなくRNAへ、研究だけでなく臨床・製薬・産業へと用途を拡大しています。
一つの技術基盤から複数の市場へ展開できることは、ONTの事業上の大きな特徴だと考えられます。
9-5. 商業化に成功しても、収益性の問題が残る
ONTは科学的成果、製品化、世界的な顧客獲得、上場まで実現してきました。
それでも2026年時点では赤字です。
現在は技術を進歩させるだけでなく、何に投資し、何をやめ、どの用途に集中するかという経営判断が重要になっています。
研究者に支持される革新的な製品を開発することと、持続的に利益を生む事業を構築することの間には、依然として大きな隔たりがあります。
ONTの現在の経営改革は、その隔たりを埋めるための取り組みと見ることができます。
10. まとめ:科学的原理から持続的な収益事業へ
ONTの約20年間の歴史は、次のように整理できます。
| 時期 | 中心的なテーマ |
|---|---|
| 2005年頃 | 科学的原理を事業にする |
| 2014年頃 | 未完成でも価値のある製品を市場に出す |
| 2018年頃 | 同じ技術をさまざまな規模・用途に広げる |
| 2021年頃 | 大量の資金を調達して商業化を加速する |
| 2025〜2026年 | 顧客価値を持続的な利益へ変える |
ONTは、Oxford大学の研究成果を起点としながら、外部知財の統合、長期的な研究開発、ユーザーコミュニティの形成、製品ラインアップの拡張、株式上場を経て、現在の事業基盤を構築してきました。
その成長の過程では、技術の精度、製造安定性、知的財産紛争、資本調達、収益性など、多くの課題に直面してきました。
特に興味深いのは、ONTが最初から完成された製品を市場に投入したわけではないことです。
未成熟な段階から研究者に技術を提供し、利用者のフィードバックや研究成果を通じて製品を改善してきました。
同時に、MinIONのような小型装置からPromethIONのような大規模装置へと製品群を拡張し、DNAからRNAへ、研究から臨床・製薬・産業へと用途を広げてきました。
一方で、研究開発に長期間投資してきたことから、2026年現在も収益性の確立が重要な課題として残っています。
2026年のCEO交代や経営戦略の見直しは、ONTにとって新たな段階への移行を示す出来事だと考えられます。
今後のONTを評価するうえでは、ナノポア技術がさらにどれだけ高性能になるかだけでなく、その技術が顧客の仕事にどのように組み込まれ、どれだけ継続的に利用され、どの程度の利益を生み出せるかを見る必要があります。
ONTの現在の位置を理解するには、「優れた技術を持つか」よりも、「どの顧客のどの仕事を、どれだけ経済的に改善できるか」が、これからの事業成長を左右すると考えられます。
ONTの歩みは、「研究成果を製品にした企業」というだけでは捉えきれません。
研究知財の集約、長期資金の獲得、初期ユーザーとの共同進化、製品プラットフォームの拡張、そして商業的な選択と集中を、段階的に実行してきた企業として理解することが有益です。
11. 調査の範囲と限界
本記事では、会社自身の発表だけに依存しないよう、以下の基準で資料を選びました。
創業や資金調達などの事実関係は、大学、投資家、証券取引所の資料を優先しています。
技術の評価については、査読付き学術論文を参照しています。
事業戦略、収益、組織再編については、企業の法定開示・決算資料を中心にしています。
また、企業自身による技術性能や将来見通しの主張については、独立した実証結果や確定事実とは区別して扱っています。
比較的信頼できる資料から主要な出来事を確認できましたが、次の点はまだ十分に明らかではありません。
- 創業から上場までの全ラウンドの株主比率・希薄化
- 各製品の個別採算
- 初期の具体的な技術開発失敗と意思決定
- 過去の特許紛争すべての帰結
- 競合製品との用途別の独立比較
これらを詳しく分析するには、2021年の上場目論見書、過去の年次報告書、特許・訴訟記録、独立した技術ベンチマーク論文を追加調査する必要があります。
また、本記事の業績・経営戦略に関する情報は、2026年11月3日時点で確認した公開資料に基づいています。
今後の経営計画、業績見通し、製品開発、規制対応の進展については、その後の開示によって変更される可能性があります。
参考文献
[1] Oxford Nanopore Technologies, “Our History,” Oxford Nanopore Technologies. https://nanoporetech.com/ja/about/history
[2] University of Oxford, “Oxford Nanopore Technologies,” University of Oxford, Impact Case Studies. https://www.mpls.ox.ac.uk/research/impact-case-studies/oxford-nanopore-technologies
[3] IP Group plc, “Supporting Innovation Through to Unicorn Status with Oxford Nanopore,” IP Group, Case Studies. https://www.ipgroupplc.com/our-portfolio/case-studies/supporting-innovation-through-to-unicorn-status-with-oxford-nanopore
[4] M. Jain, H. E. Olsen, B. Paten, and M. Akeson, “The Oxford Nanopore MinION: delivery of nanopore sequencing to the genomics community,” Genome Biology, 17, Article 239, 2016. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/6733523/
[5] MinION Analysis and Reference Consortium, “A survey of current nanopore sequencing methods and analyses,” Genome Biology, 2015. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC4722697/
[6] Oxford Nanopore Technologies, “Investor Documents,” Oxford Nanopore Technologies, IPO and Investor Relations Materials. https://oxfordnanoporedx.com/about/investors/documents
[7] Oxford Nanopore Technologies plc, Annual Report 2025, 2026. https://nanoporetech.com/api/assets/f/196663/x/e6a62a9b49/ont-ar25-interactive-final.pdf
[8] Oxford Nanopore Technologies plc, “Interim Results for the Six Months Ended 30 June 2026,” London Stock Exchange, August 19, 2026. https://www.lse.co.uk/rns/interim-results-for-the-6-months-ended-30-june-26-h9b6bq4ynfac1cr.html